【医学科】海外臨床実習

東京医科大学医学部医学科では、第6学年の診療参加型臨床実習 (*) の一貫として、4月の1カ月間、本学が学生交流を締結している海外の施設での臨床実習を選択することができます。海外臨床実習は、毎年5年次に募集があり、英語面接、共通試験の成績、TOEFL iBTスコアなどから総合的に選考されます。選考された学生は、自由な学び系科目「海外臨床実習コミュニケーション」で事前学修を行い渡航します。帰国後は学内の医学会総会にて、英語による留学報告を行います。毎年、TOEFL iBTの対策講座が開催され、応募前から帰国後まで一貫した学修?留学支援を行っています。2024年度は15名の学生が海外臨床実習に参加しました(8ヶ国10施設)。

(海外臨床実習についての詳細は、国際交流支援室HPをご覧ください)

*診療参加型臨床実習:6年の4月~7月までの4カ月間に4つの診療科で実習を行います。診療チームに参加し、その一員として診療業務を分担し、将来どの診療科の医師になるとしても最低限必要な医学知識?臨床推論法?技能?態度などの能力を実践的に身につけます。

<留学報告(医学科第6学年:2024年度実績)

【留学先】カンザス大学(アメリカ)

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 カンザス大学の膠原病アレルギー科にて1ヶ月実習を行いました。当初はアメリカの医学生の競争心の強さや指導医から求められるレベルの高さに緊張しましたが、自分を成長させる良い機会だと思い実習に臨みました。膠原病科では、毎日の回診で担当患者についてプレゼンを行い、アレルギー科の外来では毎日3名ほどの患者の医療面接を担当しました。いずれの科でも、疾患に関する質問や私の分析や治療計画についての的確なアドバイスを頂き、とても勉強になりました。

 特に記憶に残っているのは、IgG4関連疾患の疑いがある患者さんが入院された際に、指導医に関心がある旨を伝えると身体診察や病歴聴取を任せて頂いたことです。その後準備したプレゼンに対して指導医から「多様な角度から考えるように」とアドバイスを頂き、翌日にその点を踏まえたプレゼンをしました。このような即座のフィードバックと実践の機会を提供して頂けたことは、非常に貴重な経験でした。
 日米の医学教育で大きく異なる点は、医学生の責任感です。アメリカでは積極的な参加が求められ、治療計画を記載したノートは指導医のレビュー後に公式にカルテにアップロードされます。このような実際の医療現場に関わる経験は、医学生に責任感の重要性を教え、能動的な知識の習得と患者ケアの理解につながります。私も1ヶ月の短い期間でしたが、大きな成長を感じました。積極性と責任感を育てるアメリカの医学教育を日本に導入すれば、より良い臨床医になれると確信しました。
 貴重な経験をくださった小島教授、東京医科大学の皆様に心より感謝申し上げます。

【留学先】ソウル国立大学附属ブンダン病院(韓国)

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 韓国語を自主自学し、翻訳家としても活動している私は、長年の夢だったソウル国立大学附属ブンダン病院のGS (一般外科)で1ヶ月間、実習をさせて頂きました。

 留学中、韓国は医師のストライキ真っ只中で、医学生も初期研修医も専攻医もおらず、肝胆膵チームでは6人の教授と2人のフェロー、そして私だけという特殊な環境でした。しかし、おかげで学ぶ機会を十分に得ることができました。オペ室内でも韓国語での意思疎通に問題がなかったため、生体間肝移植を始めとする肝胆膵の様々な手術を見学したり、乳腺の手術で沢山の症例に触れながら第二助手としてどう動くべきかを学び、非常に実りある時間を過ごせました。
 また、幸運にも2つの国際学会に参加させて頂きました。本学乳腺科の石川孝主任教授にご教示頂いた乳腺分野の学会であるGBCC(世界乳癌学術大会)と、ソウル国立大学のハンホソン教授に連れて行って頂いたGSの学会であるKSERS(韓国内視鏡ロボット外科学会)です。学生の私にとって国際学会はレベルが高すぎるのではと不安に思っていましたが、最先端を走る各国の先生方の研究に触れ、直接お話を伺って助言を頂く中で、国際的に活躍できる外科医になるという新たな夢を見つけることができました。双方の学会で学会長とお話しする機会があり、君なら日本と韓国の医師を繋ぐ存在になれると言って頂き、これまで以上に医学に真剣に取り組もうと決意しました。
 私にとってこの留学はひとつの夢の終着地であり、また新たな夢の出発地です。このような貴重な機会を与えて頂き支えてくださった皆様に深く御礼申し上げます。

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